平成22年には桃山時代から伝わる陶芸技法の1つで、漆黒の色を出すことが特徴の「瀬戸黒」で、独自の穏やかな作風を確立したとし、人間国宝に認定されました。
その後平成24年には朝日小綬章を受賞したほか、瑞浪市をはじめ可児市と多治見市の名誉市民にも選ばれました。
加藤孝造作品
瀬戸黒・志野・鼠志野・黄瀬戸など制作した陶磁器作品が有名で、有田焼や丸谷焼のような絵付けはなく、釉薬と造形と火で構成されたシンプルな表現方法は鑑賞者を夢中にさせる不思議な力があります。
瀬戸黒はそれまでの保持者であった人間国宝・荒川豊蔵氏が1985年に死去したため、重要無形文化財指定が解除されていましたが、その後再指定され、加藤名誉顧問(加藤孝造)が2人目の人間国宝になりました。
なかでも加藤孝造の瀬戸黒は、『引き出しの技法』とも言われ、1200度もの高温の窯に入れた器を引き出し常温まで急冷させることを特徴としており、難しいのは引き出すタイミング。ちょうど良いタイミングを知るには熟練された勘にたよるしかありません。
瀬戸黒の技法では釉薬の中の鉄分が黒色化するため、出来上がったものは黒色を帯びることになります。
加藤孝造の作品は搔き銘で「こ」とサインがあるのが特徴です。